Twitter / unepist

カテゴリ:読書( 9 )

『マッピー』用ボーダー

読書感想:小栗虫太郎『黒死館殺人事件』

最近は,通勤時間が長くなった影響もあって,電車の中で読書する時間が大幅に増えました.
といっても,そこそこ混雑する通勤電車の中でミステリ雑誌を読み漁るのは少々骨が折れますし(とりあえずチャレンジはしてみたけど,ものすごく肩が凝ります),ここしばらく新刊も古本も買いに行っていないので文庫本のストックも少ない.
そんな中,「そういえばiPod touchで青空文庫が読めるアプリがあるじゃないか!」と思い立って,車内で使ってみることにしました.
ちなみにiPod touch用の青空文庫のアプリケーションは,ちゃんとお金を出して買いました.i文庫というアプリなのですが,対価を払うだけの価値はありますね.他にも同等の機能を持った青空文庫リーダがたくさんあるので,興味がある方は体験版を試してみるのがよいかと思います.

で,青空文庫の本棚を眺めてみると,なんと当Blogのタイトルにもなっている推理小説『黒死館殺人事件』が入っているじゃないですか.
実はこの本,以前に(たぶん全部)読んだはずなのですが,あまりに難解というか不可解というか,まぁそんな内容なので結末は覚えていても話の流れはまったく覚えていない(読んだ人ならわかるはず.)
これは,読み直すチャンスですよね!?

続きを読む
[PR]

by unep | 2009-12-15 23:57 | 読書

『マッピー』用ボーダー

読書感想:ジャーロ vol.37(2009秋号)

ここしばらく書いていなかったので,久々に読書の感想でも.
あ,ちなみに最近引越しました.東京都民から神奈川県民にクラスチェンジです.
まぁ,たいていの方にとって,そんなことはどうでもいいはずなので,深くは触れずにジャーロ vol.37についてです(もしかしたら今後何かの記事にするかもだけど.)

ジャーロってのは光文社が刊行しているミステリ小説の専門誌.
この業界では,メフィスト,ミステリマガジンと並ぶ感じでしょうか.
ミステリ作品に力を入れている,講談社(メフィスト)、ハヤカワ書房(ミステリマガジン)、光文社(ジャーロ)が,それぞれの特色が色濃く出た専門誌を出している~とイメージしておいてください.
ちなみに,書店での遭遇率はジャーロが極端に低く,ミステリマガジンは大きな書店なら常備,メフィストは置いている店に行けば山積み,といった感じ.ジャーロはちょっとマイナーみたいなんです.

で,vol.37なのですが,感想を率直に言うと,少し不満が残る内容でした.
ジャーロはシリーズ連載モノが中心で,読みきり作品があまり多く載らない雑誌なのですが,それらが全体的に劇的な展開やトリックに欠けていて,単調だったのかなぁ.
もちろん,unep個人の感想であってそれぞれの作品を誹謗中傷するつもりではないのですよ,と前置きしておいてコメントにうつります.

続きを読む
[PR]

by unep | 2009-12-05 09:43 | 読書

『マッピー』用ボーダー

清涼院流水『コズミック』

先日のジョーカーに続き,『コズミック』を読了.
この作品も,ジョーカーと同じく,探偵組織JDCに所属する探偵たちが活躍するシリーズ。第1作目である今作(ジョーカーは2作目だけれど,文庫本の裏に先に読めと書いてあるのです)は「密室卿」を名乗る者によって予告された「1200の密室で起こる1200の殺人」に挑むというもの.
1年間に1200件の密室殺人・・・それに挑む探偵は(組織としては)350人.とまぁ,プロットからして荒唐無稽なわけですが,内容はさらにその斜め上を行く感じでした.でも,個人的にはジョーカーと比較してこちらのほうが楽しめた気がします.
今回はちゃんとしたミステリで,トリック(?)としてはそこまで難しくないはず.・・・それでも,あの真相がわかったら神ですけども.

この作品は第2回のメフィスト賞受賞作.第1回受賞作の森博嗣『すべてがFになる』も,ミステリとしてはかなりインパクトのある作品だと思いますが,「コズミック」を入賞させたことによってメフィスト賞に対するミステリ好きの評価は大きく変わったのでないかと思います.・・・いや,その頃は知らなかったけど.
メフィスト賞作家さんには,第0回ともいわれる京極先生や,森博嗣,舞城王太郎,佐藤友哉,西尾維新など,個性的な方が多いのですが,作品の方向性の突飛さだけならば,清涼院流水はおそらく別格でしょう.
・・・まぁ,突飛であれば素晴らしいってわけでもないとは思いますが.

この本について議論するとなると,たぶん内容についてはどうでもよくて,その立ち位置とか,「そもそも作品としてどうなの?」って会話になってしまうので,今回はあまり語りません.
ということで,万人におすすめできる本ではありませんが,ミステリ好きなら1度は読んでおいても良いかもしれないコズミックでした.
[PR]

by unep | 2009-04-05 22:57 | 読書

『マッピー』用ボーダー

清涼院流水『ジョーカー』

ずいぶんと久しぶりの更新になってしまいました.unepです.
現在,手元でパンドラvol.2-SIDEBとジャーロ35号とメフィスト'09年1月号がスタック状態なのですが,さらに文庫本も10冊くらい買い増してしまったので,とにかく読まなきゃならない本が詰まっています.
昨日はようやくパンドラvol.2-SIDEAを読み終わりまして,どれだけ時間をかけてるんだって感じ(昨年10月発売)ではありますが,ポケットに入らないサイズのものを読むのは家にいるときだけになってしまうので,なんだかんだで難しかったりします.
そういう意味では,サイズの小さなジャーロは旅行の友に最適で,3月発売の35号が既に3分の2は読み終わっていたりするのですが・・・まぁ厚みがそもそも違いますからね.

閑話休題

ということで,そんな合間を縫って清涼院流水先生の『ジョーカー』を読みましたので感想をば.
まず,先に断っておくと,この作品は万人に受ける作品ではないと思います.ないとは思いますし・・・実際のところ,『面白かった』と声を大にして言おうと私も思っていません.
面白かったというよりも,『興味深かった』.そんな形容が似合う作品だと思うのですが,そのためだけに1000Pの大作を読みますか?そして,清涼院先生はそれだけのために1000Pも書いちゃいましたか!!(褒め言葉)

あらすじとしては,幻影城という洋館ホテルで発生する連続殺人事件に,宿泊していた8人の推理作家,そしてJDC(日本探偵倶楽部)という探偵組織に所属する複数の探偵たちが挑むというもの.想像を絶する(?)密室トリックや,ノックスの十戒,ダインの二十則,日本四大奇書へのオマージュなど,ミステリ好きが楽しむためのネタを満載したバカミス×メタミステリ的な作品です.(たぶん,酔狂な方はこの手の言葉に弱いはずです.私もそうでしたから.)

以下,少しネタバレを含みます
[PR]

by unep | 2009-03-28 11:03 | 読書

『マッピー』用ボーダー

辻村深月 『冷たい校舎の時は止まる』

もうだいぶ前に読んだ作品なのですが,たぶんまだ感想を書いていないはずの辻村深月のデビュー作をご紹介.
『冷たい校舎の時は止まる』は第31回のメフィスト賞入賞作品.メフィスト賞は講談社のエンタテイメント小説向けの新人賞で,ミステリ好きの間ではイロモノ文学賞的な位置づけで愛されています.とはいっても,ここでいう「イロモノ」は,バカミスの究極系のようなものから本格ミステリまで,とにかく普通じゃなくてハンパでない作品であるが故のイロモノ扱いです.
全てが全て万人向けなわけではありませんが,メフィスト賞作家と聞くと少し読んでみたくなるような,そんなメフィスト賞.

で,この『冷たい校舎の時は止まる』です.あらすじは受験を間近に控えた高校生8人が,誰もいない校舎の中に閉じ込められ,不可思議な現象によって5時53分を迎えるごとに消えていくというもの.
とはいっても,別にホラーなわけではありません.比較的,SFに近い雰囲気の作品で,学園祭で自殺した生徒の名前を思い出せないこと,職員室で見た集合写真の中に生徒が7人しか写っていないことなどから,自殺した生徒が不可思議な現象にかかわっているのではないかと考え始め・・・というお話.

密室,消えていく仲間といったあたりは,ミステリー作品の王道.
それをたった1つの不可思議な設定によって校舎の中に作り出しています.物語の真相は,主に登場人物の回想を通してヒント(あるいはダミーやブラフ)として提示されていくのですが,パズル的な要素よりも「字面に現れない何かを読む力」が必要な感じです.
個人的には,少し話が長くなりすぎた印象もあるのですが,作家さんの描きたかったキャラクタをすべて描ききったらこうなったのかなと思っています.ミステリ好きでない方でも,長めの作品であることが気にならないようならオススメしておきたい作品ですね.
[PR]

by unep | 2009-02-22 21:02 | 読書

『マッピー』用ボーダー

『good!アフタヌーン 初号&#02』

今回は,ちと漫画雑誌の話でもしようかと思います.
個人的には期待度No.1の新雑誌『good!アフタヌーン(以下good!誌)』.現在のところ,アフタヌーン本誌の増刊号として2ヶ月に1度のペースで発行されていて,連載陣も充実しつつあるので次の号が本当に楽しみな雑誌です.

good!誌では,アフタヌーン本誌を支えた実力派漫画家(現在も連載を続けている作家もいれば,かつての人気漫画作者さんもいます)を中心に,アフタヌーン誌上には掲載されないタイプの漫画を取り込みつつ新路線を目指している感じですね.
同時期に創刊された遠田ブレインの『Fellows!』誌が,コアな漫画マニアを狙ったラインナップであり,同社のコミックビームを超えるマニアックさであるのと対照的に,青年誌向けのラブコメテイストな作品を擁するgood!誌は裏アフタヌーン(ただし根本的な部分は同じ)といった印象です.

ご参考までに作家のラインナップをご紹介してこの記事の締めくくりにしようかと思います.

かなり長いのでつづきはこちらから.
[PR]

by unep | 2009-02-18 07:45 | 読書

『マッピー』用ボーダー

西尾 維新 『ネコソギラジカル(上)』

西尾維新の作品は,主に文庫版(+ファウスト掲載,パンドラ掲載)を読んでいまして,ようやく「戯言シリーズ」の最終章が文庫で発売されたので早速購入し,その日のうちに読了してしまいました.もともとは,ちょっと苦手な文体だと思っていた「饒舌体」などと形容される西尾維新の文章も,これだけ読んでいればすっかりなれたものです.最近ではかなり好きな作家さんになっています.

シリーズの締めくくりとなる最終章『ネコソギラジカル』は,今までの作品とは異なり,上中下巻が2カ月おきに発売されるという超スローペース.正直なところ一気に読めなくてガッカリなのですが―(サイコロジカルは上下巻同時発売だったのに!!)―今後の文庫版発売スケジュールとの兼ね合いなのかな.
予想としては,この後には零崎一賊の「人間シリーズ」か,「世界シリーズ」が発売されるのではないかと予想しているのですが,ちょっと早すぎる感もありますしどうなることやら.

さて,プロットですがシリーズを通しての伏線などが収束しつつあり,それらを上手に避けて説明するのが困難なので,本当にあらましだけをご紹介しておきます.
今回の内容は「戯言使い」の「いーちゃん」こと僕(作中では本名が明かされていない)が,どうやらシリーズを通しての因縁があることがわかってきた「最悪」の「敵」との戦いに赴くというもの.
・・・ほんとうにあらましだけになってしまった.もうなんか,固有名詞とか出しただけでも,反則でネタバレでになりかねない気が.今までのシリーズと最終章とで異なるのは、「僕」にとっての「敵」が初めて登場するということでしょうか.今までは物語に巻き込まれる側だった主人公が,明確な敵意を持った相手に立ち向かうのは最終章ならではの展開.・・・とはいっても,それは主人公の立ち居地が少し異なるというだけで,物語として大きく異なってくるわけではありませんので,今までどおりに楽しめる作品だと思います.

物語への個人的な感想などは,中下巻が発売されてそれを読み終わった後にということで.
本筋に関係ないあたりで差し障りのないコメントを残しておくと,あいかわらずキャラクタの使い方が突飛で予想を(いい意味で)裏切ってくれます.ものすごく思わせぶりなキャラがあっさり殺されたり,背景のしっかりしたキャラクタが文字通り背景でしかなかったり,観点をずらしただけで物語の意味合いが大きく変化したり・・・といった西尾維新の独特の世界造りは健在です.
[PR]

by unep | 2009-02-16 22:41 | 読書

『マッピー』用ボーダー

小柳粒男 『くうそうノンフィク日和』

エレGYについて書いたので,同じ流れでパンドラに掲載された『くうそうノンフィク日和』についても感想を.こちらも同じく第一回流水大賞の優秀賞作品.優秀賞ってのは大賞ではないけれど,応募作品の中でもとくに出来がよくて評価に値する作品に贈られる賞です.
作品としての評価は高いけれど,「発表されることによって,今までの文学の流れを大きく変える」という流水大賞の審査基準には達しなかったということですね.

この『くうそうノンフィク日和』は個人的な感想としては,まだまだ文体も荒いし,大絶賛とまではいかないのですが・・・「うん,面白かったかな.次も読んでみようかな」と思えるような部分がたくさんあります.
ちなみに,その後に発表された続編の『シャカイに降り立つおかっぱ頭』と『シノキ大戦』では,それなりに文章も収まりが良くなって,キャラ立ちを意識した話の構成になってきているのですが・・・『くうそうノンフィク日和』の不思議な感じの第三者視点(語りは一人称だけど,物語に対してはまったくの第三者)や,ハードボイルドっぽい文体が失われているので逆に普通の作品になってしまっているような気がします.
とりあえず,雑誌に掲載され続ける限りは,今後に期待ってことで.

プロットとしては,喫茶店の雇われ店長である主人公の視点を中心にして,平凡な女子高生だったはずが「魔女」として選ばれて異世界で闘うことになった女の子と,魔女の騎士として選ばれて現実世界で「殺人」を行うことになった男の子,2人を追う選ばれなかった男の子,の三者を描くもの.
古臭くて安直にも思えるプロットですが,物語に対しての第三者視点から語られることによって奇妙な現実感が出ているあたりが特徴でしょうか.語り口は完全な一人称なので説明的な台詞が少なく,物語を完全に理解できないあたりが逆に魅力的だと思います.

とはいえ,読み手を選ぶであろうことは必須.かくいうunepも,最初に読んだときは第一章で挫折してしまいました.その後,パンドラ読破の意味もかねて読み直したのですが,後半になるにつれて文章がよくなっていき,面白さがわかるようになった気がしています.
「書いている段階で,作者さんがどう面白くするか理解していったのかな?」という印象.

ただ,この作品を講談社BOXから単行本として発売したのは,まだまだ早すぎたのではないかな・・・という気がしますね.1260円って決して安い値段ではありませんから.
[PR]

by unep | 2009-02-15 10:24 | 読書

『マッピー』用ボーダー

泉 和良『エレGY』

読んだのはだいぶ前になるのですが,なかなか印象に残る作品だったので感想を.
この作品(発音はエレジー?ギー??それともジーワイ?)は,講談社から出ている『パンドラ』という雑誌に全文掲載されていたもので,第2回流水大賞の優秀賞(大賞には至らないけれど,評価が高かった作品に贈られる賞です)に選ばれたものです.流水大賞の世間的な評価はまだまだ未知数で,今のところは講談社のライトノベル向け作品賞的な位置づけです.
なお,『エレGY』は講談社BOXから単行本が出版されているので比較的簡単に入手可能.

背景的な前置きはこのあたりにしておいて,個人的な感想に移ると「わりと衝撃でした」というのが素直なコメント.「こういうのはちょっと新しいかな?」と思えるような小説に出会えるのは嬉しい限りです.
インタビューの中にも実話をベースにしていることを匂わせる作者さんのコメントがあるように,ヒロインである「エレGY」さんの描写とキャラ立ちが,ふっ飛び具合と嫌なリアルさを併せもっていてすんなりと受け入れられました.

ちなみにプロットはというと,一瞬の自暴自棄から
「パンツの写真を見せてくれる女の子募集!」
とWeb日記に書き込んでしまった同人ゲーム作家の主人公と、それに対して
「よかったら、へんじください。へんじがこなかったらじさつします。」
とのコメントとともに写真を送りつけてきた「エレGY」との暴走6割×欝4割(+時々リストカット)な恋愛を描くもの.

作者の「泉 和良」氏は,作中にも出てくるハンドルネーム「ジスカルド」として同人ゲームを公開されているそうです.このあたりは作品が現実とタイアップしつつ,私的作品に陥りそうなところを上手に回避しているので,読み物として耐える仕上がりかと思います(毎度ですが,偉そうですね俺).
ただまぁ,作品全体としての仕上がりもそこそこ良いのですが,内容としてはほんとに「エレGY」さんの無茶苦茶っぷりが全てを引っ張ってくれている気がします.タイトルも『エレGY』だし,個人的にはとても楽しめた作品なので,これでいいと思うんですけどね^^.
[PR]

by unep | 2009-02-14 10:59 | 読書

『マッピー』用ボーダー